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女ざかりの恋の音色は
第7章 締め付けられる心
「・・・・・というわけで、スケジュールだいぶ遅れてます。各チーム連携して、ペースアップしていってください。よろしく」

プロジェクトリーダーが解散を告げると、会議室に集まっていたメンバーは次々と立ち上がった。

理志の電話が鳴り、会議室の隅へ行って電話に出ている姿が目の端に映るが、気にしないふりをして資料をトントンと整えて立ち上がった。

リーダーが芙実のところにやってきて言った。

「樫野さん、しばらく残業してもらうことになるかもしれないけど、平気?再来週から人増やす予定なんだけど、それまでちょっとお願いできるかな。もちろん、なるべく早く帰ってもらうつもりではいるけど」
「はい。私の担当、もう少し増やしてもらっても大丈夫ですよ」
「本当?じゃあ・・・・・・・」

リーダーがA4用紙の作業計画書をめくりながら芙実に作業の追加を指示する。

「樫野さん、コーディング早いし、綺麗に書くし、ほんと助かる。ソース見ただけで樫野さんだなってわかる。コメント、しっかり書いてくれてるし」
「前の職場で、コメント手抜くとめちゃくちゃ怒られて、それが抜けないだけです」
「新人の子に、こうやって書けってお手本で渡してるもん」

褒められてつい笑みがこぼれる。
前の会社で働いている時は、過酷過ぎて早くやめたいしかなかったが、やめてみるとそのおかげであらゆる技術を身につけることが出来たなと今は思う。

じゃ、よろしくと言ってリーダーが出ていく。

芙実が指示された箇所にメモ書きをしてから、理志を見ると、まだ電話中だった。
窓の方を向いて電話しており、芙実に気がついていない。
他の皆はもう会議室から出てしまって二人きりだった。
付き合いはじめてまだ一週間しか経ってないが、二人の気持ちは急速に高まって、密度もどんどん濃くなっていってるように感じていた。

二人きりでいるのはまずいと、芙実が急いでドアに向かって外にでようとした時だった。

二の腕をつかまれる。振り向くと理志が電話をしながら見下ろしていた。

「わかりました。確認してすぐメールします。・・・・・はい。失礼します」

理志は電話を切ると同時に芙実をドアに押し付けて深くキスした。

「・・・・・・・っ!」

レロ・・・・・・と舌が差し込まれる。

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