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我が運命は君の手にあり
第8章 第八章
綾辺豊からの魅力的な提案はスタッフ達を奮起させた。当然仕事は増えたが、遼の指揮の元、一丸となって取り組む機運が高まっていた。
事務局に顔を見せた遼は、守沢直美に菓子折りを渡すと皆に向き直った。

「染井流の発展には皆さんの協力が不可欠です。再来年の春には、染井流の生け花が広く世間に知れ渡るでしょう。必ず実現します。どうかよろしくお願いします」
「はい、お任せ下さい。みんな、頑張るわよ!」

守沢直美のひと言に皆が「はい!」と応えた。事務局のスタッフは増員され、新しいパソコンも設置された。
花材や花器の仕入れ先選定の他、ホテルに配備するパンフレットの提案企画等、大小様々な業務を手分けして行わなければならない。まさに染井流創設以来の大仕事だった。

「ちょっと秋津さん。次の花展の事なんだけど」
「はい」

出口に向かった遼が手招きで冴子を呼んだ。守沢は給湯室に入り、他のスタッフはパソコンに向かっていた。

「忙しくてなかなか都合がつかなかったけど、今度の土曜日、うちに来るといい」
「えっ」

なぜそんな事を言い出すのか、冴子は嫌な予感しかしなかった。

「ほら、時江さんに会ってないって言ってたよね。たまには二人でお茶でも飲んで」
「でも……」
「時江さんも了解してるんだ。また連絡する、明後日だよ」

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