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舞い降りた天使
第7章 桜

それから三人で駐車場まで移動し
俺は真穂の車を見送った

ほんとは
『これから三人でファミレスにでも』
と、言いたくて
休憩室のドアを閉めた瞬間から
何度も言いかけたけど
結局、俺は言えなかった

言えなかったというより
そんなことを
してはいけないという思いが強かったからだ

俺は
さっちゃんと会うことで
より一層『不倫』という言葉を
意識するようになっていたんだ

はぁ…

真穂の車が見えなくなると
なんだか切なくて
帰りたくない

俺は携帯の電源を入れて
連絡先をスクロールした

けど残念ながら
引っ越したばかりで
近くに男友達はいない

駿太……ダメだ

姉ちゃん…もっとダメ

美里…

元カノの名前をスクロールすると
俺は誰にも連絡することなく
携帯の電源を落とした

違うんだ

会いたい人は
これじゃない


今日はまだ木曜日

真穂が確実に
俺の部屋に来る火曜まで
まだ何日もあるじゃないか

クソ…


俺は
やるせない気持ちと
どうにもならないからこそ
真穂への想いが強くなるのを感じながら
ハンドルを握った

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