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舞い降りた天使
第1章 レモングラス
それは多分
桜の具合が悪かった日のこと

その日
桜は学童保育で突然具合が悪くなって
大野先生が私に電話をかけてくれたんだけど…

仕事でトラブルがあって
大野先生からの電話がうまく私までつながらず
私は大野先生から注意を受けていた

タイミング悪く
パパも電話にでなかったらしく
大野先生の注意はいつもより
強めだったっけ…

挙句
大野先生の注意は
電話にでなかったことだけでなく
桜が体調を崩したのは
私の食生活の管理や
日々のケアが足りないからだと話しはじめて
私は何度も謝っていたと思う

それ

見られてたんだ…


「居たんだ…栗原くん」


「偶然通りかかって…
それからずっと気になってて話しかけました」


「恥ずかしいな」


「恥ずかしくなんてないです」


「恥ずかしいよ」


「どうしてですか」


「……全然ダメだから」


「何がですか」

何がって…

「何もかも全部(苦笑)
私は栗原くんが思ってるような
いいお母さんじゃないから」


「何言ってるんですか。
いいお母さんじゃないですか」


どこが?

この私の
どこがいいお母さんだって言うの?
大野先生との会話、聞いてたんでしょ?

正直そう思った

昨日は
栗原くんの優しい言葉に
泣いてしまったけど
何も知らないのに
簡単にそんなこと言わないでよ…と


「いいお母さんな訳ないじゃない。
いつもいつも
注意されてばかりなのよ?
きっと桜だって
よそのお母さんが羨ましいと思ってる」


「そんなことないですよ」


「どうして?
どうしてそんなこと言えるの?
栗原くんは何も知らないじゃない!」


そこまで言った後
自分が発したあまりにも酷い言葉に
ハッと我に返った

と、同時に

目が涙で潤んでることに気づいた


「あ、ご、ごめんなさい
ひどいこと言って。
そんなこと
言いたかったんじゃないの。
そんな風に
思ってなんかなくて…あっ…」


栗原くんは突然
私の言い訳を遮るように

膝の上でぎゅっと握りしめてる
私の荒れた手の上に

そっと

優しく

自分の手を重ねた
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