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舞い降りた天使
第13章 暗闇


「来てないと思うけど…調べて折り返す」

「あ、うん。ごめんね」

「じゃ、あとで」

「うん」


姉ちゃんと話をするのは
あの夜以来だった

内容が内容だけに
少し気まずかったけど
理由も聞かず
まるで何も無かったように話す姉ちゃんに
俺はちょっと感謝していた


姉ちゃんから連絡があったのは
それから30分くらい経った頃だった


「あ、私。
調べてみたけど
徳永桜ちゃんは
あれから来てないみたいだけど」

「…そうなんだ」

「どうかした?
具合、悪いの?
もしかして急変?大丈夫?」

真穂の娘なのに
心配してくれる姉ちゃんに
俺はちょっと泣きそうになった

「…いや、何て言うか…」

どう説明すればいいのか分からないまま
俺が口ごもると
姉ちゃんはいつものように
威勢良く話し始めた

「何よハッキリしないわねぇ。
巧も調子悪いんじゃないの?
声、おかしいよ?
風邪でしょ。
あんたは風邪引くといつもそうなんだから」


「姉ちゃん…」

やべぇ
会社じゃなかったら
俺、泣いてたかも


突然連絡が途絶えてしまった真穂とのことを
誰にも相談できないでいた

何があったのか
どうなってんのか
真穂がどう思ってんのか何にもわかんなくて
ほんとはめちゃくちゃ悲しくて
心細くて
マジで凹んでて

どうしたらいいのか
分からなくて…


「大丈夫なの?
私は夜勤だから
駿太、そっちに行かせようか?
ちゃんと食べてんの?」


「あ、うん、平気。
もうだいぶ良くなったから」


「そう。
で?
桜ちゃんは?
何かあったの?」


「あ、いやそれはその…
そうかもって思っただけで
何かあったわけじゃない、と思う。
ごめん」


「ハッキリしないわねぇ。
けどごめん、もう時間ないわ。
やっぱ駿太行かせるから
桜ちゃんに何かあったらすぐに連絡して。
夜中でも診られるから。
あとはなんだかよくわからないけど
駿太に話しといてね。
わかった?」


「あー…うん」


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