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君に熱視線゚
第53章 恋の修羅場ラバンバ!

空は穏やかな天気のままだ。

青く澄んだ空気と海風が香っている。

こんな爽やかな陽気と明るい時間帯に何故に胆試し?
そう思う生徒達を前にして、教師はゆっくりとある位置を指差していた……。


「この学校は昔、戦争で倒れた兵隊を運び治療するために使われた……」

教師は何故か声のトーンを落として話し出していた。生徒達は急に黙って固唾を飲む。

廃校になった校舎。
窓には暗幕がしっかり張られている……。

静まり返ったその場所で、教師は続けた。

「瀕死の兵隊は助からず……この学校の裏の畑で焼かれ……埋められたと言われている……」

教師の声音は坦々と話をしていくと校舎をゆっくりと振り返った。

「昼だろうが……中は真っ暗だ……」

晴樹が耳にしていたヘッドホンから低い声が聴こえていた。

「……中々…っ…上手いな語り方が……」

晴樹はヘッドホンを外して呟いた。

観光のメインスポットになるであろう廃校のお化け屋敷。

シナリオ作家の指導した以上の演技力を見せた生物学の教師に晴樹は感心していた。

校舎の中の一角で、胆試しの説明に聞き入る生徒達の様子を晴樹は伺っている。

校内に取り付けた隠しカメラと音声マイク。

施設に費用が掛からない分、こういった機器に予算を費やせる。

隠し撮りは中々面白い。まるでドッキリの仕掛人の様に、晴樹は心なしかワクワクしながらモニターに食い入っていた。

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