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君に熱視線゚
第53章 恋の修羅場ラバンバ!

「苗っ!?…なえーっ…くそっ!どこに消えたんだっ!?」

懐中電灯であちこち照してみれど、苗どころか人気も見当たらない。
走り去るような足音は確かに聞こえた。


やばいっ…嫌がるのを無理に引っ張ったから逃げたのかも……っ…とにかく捜そうっ!…何処かに隠れてるかも知れないしっ──

「苗ーっ、ごめん悪かった!もう人参は諦めてリタイアしようっ…な!だから出ておいでー…」

苗の名前を呼びながら、夏目の足音が遠ざかって行く──


夏目の居なくなったその場所で、壁際に掛けられた暗幕のカーテンが不自然に揺れ動いていた。

「……っ…ふ…ふぐっ…」

口を塞がれて声が隠る。
慌ててじたばたとする身体を後ろから羽交い締めにされながら、耳に誰かが囁いた。

「苗……俺だから安心して……」

「……ンムッ!?…むっ?……ん!」

聞き覚えのある声に気付き、もがいていた苗の動きが静かになる。

「──……っ…悟ちゃ」

「しっ……」

口を塞いだ手を放すと悟は声の大きな苗に静かにするよう指を当てた。

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