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君に熱視線゚
第53章 恋の修羅場ラバンバ!

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人参を手に入れた喜びと、あの土間の向こう側に足を踏み入れる必要が無くなったことで、泣き崩した顔に笑みを浮かべた苗を見て悟は笑った。

「嬉しい?」

首を傾げ、覗き込むようにして聞く悟に苗は鼻を啜りながら頷く。

「最高だよ悟ぢゃんっ…ううっ…」

「ふふ…」

素直に褒めてくれる苗がすごく可愛く思えてくる。
悟は嬉しそうに笑うと苗の手を握った。

「それ持ってやる」

「うん」

悟は苗の人参の袋を自分の荷物と一緒に片手で持つと肩に背負う。

「まだ時間があるから久し振りに見て回ろうか」

「うん」

もはや、苗にとって、悟は神様仏様と共に拝みたい部類の人だ。

赤い目をゴシゴシ擦りながら、苗は悟の言うことすべてに返事一つで頷き返す。

土間の向こう側以外なら何も怖くはない。
一階にある教室は、村おこしの為の史料館として昔から使用されている。

悟とよく遊んだ場所だ。
暗い暗幕の布を捲ると明るい昼間の陽射しが二人を照らしていた。

「ほら、苗。これ見て」

悟は史料館の中にあった埃まみれの村の模型(ジオラマ)を指差していた。

苗は悟の指先を見て声をあげる。

「あー!」

農家の模型の傍に苗が勝手に置いた、ドングリで作った馬が昔のままになっていた。

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