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君に熱視線゚
第53章 恋の修羅場ラバンバ!

背を向けてむーっと唸り、眉間を寄せる苗を悟は後ろから覗き込む。

「どうした?何か考えごとか?」

「そうだよ!今、久し振りにすっごい考えごとしてるだよ!」

「苗は考えごとなんかしちゃダメだろ?何の考えごと?もしかして俺のこと?」

「そうだよ!すごい考え込んでるだよ!」

そうムキになって答えた苗を見て悟は思わず笑みを浮かべた。

「──…っ…人が悩んでるのに何でそんな嬉しそうだかね!?」

「そりゃ嬉しいよ」

「………」

怒ったはずが逆に悟に真顔を向けられて、苗は目を見開いた。

真っ直ぐに見つめてくる悟を前にして、苗はごくっと唾を飲む。

急に雰囲気が変わるから困ったものだ。

「苗……」

「……っ…」

暫しの沈黙の後、すっと伸びてきた悟の腕に苗は思わずビビった。

「もう戻ろ?皆待ってると思うから」

「ぬあ!そう言うならややこしい動きしなきゃいいだよ!」

「何言ってるんだよ?早く行くぞ」

「……っ…」

苗の手を握った悟は荷物を肩に抱え苗を振り向くと、一人であわてふためく苗を笑っていた。

そんな小さな危機を脱した苗を探して晴樹は真っ暗な校舎を歩き回っていた……。

「直哉……苗が今どこかわかるか?」

晴樹はモニターの前に居るであろう直哉に携帯電話で連絡を入れた。

直哉は困ったように返答する。

「それが……夏目ともはぐれたみたいで……」

「はぐれた?」

「はい……苗さんだけ突然消えてどのモニターにも映らないんです」

「──…なに!?」

直哉の言葉に晴樹は目を剥いて返していた……。

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