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君に熱視線゚
第50章 番外編

“兄さん…好き…”


二次会で突然口にした苗の言葉が脳裏をかすめ、晴樹はふと頬を緩ませる。


付き合い始めても…

婚約しても…


やっぱり俺は兄さんか…



立場は確かに変わった筈なのに“兄さん”からは逃れられないことに、返って笑いが溢れそうだ。



兄さんでも幸せであることは間違いないんだけど…


「苗…あーいう言葉はな……今、言うもんだろ…」


照れたままうつ向いて無口になった苗に、晴樹はそう言って優しく笑うとギュッと苗を抱きしめた。


海外と日本を行ったり来たりの慌ただしい日々。

やっと取り戻せた苗との時間を噛み締めるように、晴樹は抱きしめた苗の首筋に顔を埋める。

ふんわりとした香りが晴樹の疲れた心を和ませる。



ああ…

これは…
なんていうんだろうか…


赤ちゃんのような柔らかな匂い。
抱きしめただけでこんなにもホッとする…


やっぱりこれだな…



瞳を伏せた晴樹の表情に自然に笑みが浮かぶ。


すごく大事で…

愛しくて可愛い…




晴樹は鼻先を擦り付けるように苗の香りを味わうと首筋にちゅっと軽く何度も吸い付いていた…


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