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君に熱視線゚
第51章 番外 後編


椅子に座って長い脚を組む。


田中家とはロビーで別れを告げて、晴樹は苗と二人で待ち合い席に居た。

「あ、ゲート開いたな」

アナウンスで晴樹の乗る便が案内され、席から腰を上げた晴樹は後ろに居た苗を振り返った。

「なるべく早く帰れるようにするから…」

「うん…」

名残惜しさが込み上げる。国際線だけあって周囲は異国の乗客が大半を占めている。

晴樹は苗の頬をそっと撫でると腰を屈めた。

「苗…愛してる…」

交わした口付けに言葉を添えて、晴樹は“行ってくる”の一言を告げると苗に背を向けた。

苗は笑顔で晴樹の後ろ姿に手を振り返す。

ゲートを潜ってふと晴樹が振り返ると……

涙をゴシゴシ拭う苗の姿がちらりと見えた。

乗り口に向かいながら晴樹は小さく笑みを浮かべる。


早く帰らなきゃな…


自分との別れに愛しい苗が泣いている──


それは晴樹にとって嬉しいことでもあり、切ないことでもある。

離陸した飛行機の中、晴樹は涙を拭う苗のその仕草を思い浮かべる度に、ずっと胸を疼かせていた。


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