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第4章 恋の連鎖が止まらない

　今までだったら、即答で「社長」と答えていた。見た目も誠実、中身も真面目。キリッとした鋭い眼差し。ドSオーラが全身から滲み出ているのも素敵。けれど、人は見た目では判断できない。浮気なんて絶対しないと思っていた人物だって浮気するのだから。

　前の職場の先輩と結婚した元彼。てっきり幸せな家庭を築いているとばかり思っていた。けれど、事実は違った。久しぶりにメールを送ってきた後輩によると、元彼は女癖が悪かったらしく、先輩も手を焼いているらしい。あの時は別れたくなかったけど、今になってみれば別れて大正解だった。

　でも、今好きな彼は──遊び人。

　進歩していないな、と自分でも思う。ここまでくると、ダメ男しか好きになれないのかもしれない。

「で、どっち？　真面目人間で冗談も言わない人か、不真面目だけど一緒にいて楽しい人か」
「私は──」

　普段は乗りだけで生きているような自由な人だけど、仕事の時は人が変わったように真面目に取り組んで、面倒見が良くて人を楽しませることが好きで、ちょっと意地悪だけど人に優しくできて、いつも場の中心にいるからいないと寂しくて──そんな貴方が私は好き。

「はい、残念。時間切れー」
「あ……着いちゃった」
「次回までの宿題ね」
「え！？　宿題ですか！？」
「『わかりません』は無しだから。しっかり、じっくり考えて来いよ！　俺の前で発表するんだから」
「発表って……。雪さん、なんだか学校の先生みたいになってますよ」
「あー、学校の先生もいいかも。もちろん、俺が担当するのは保健体育ね」
「……その授業、私はボイコットします」
「なんでだよ！　手取り足取り、実践して」
「くだらないこと言ってないで仕事行きますよ！」
「深雪ちゃん、付き合い悪い」
「そんなお付き合いはしません！」

　雪さんと一緒にいると楽しい。もっと２人でいれたらいいのに──欲深くさせるのも、きっと恋のせい。