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結婚式前夜
第1章 麗子さんとぼく
「あんっ……もうっ、だめな子ね……翔ちゃんは、本当にだめな子……」
彼女は“だめな子”を繰り返し言う。
そして、ぼくの顔を撫でた。
「ごめんね、翔ちゃん、出したら許さない、なんて嘘よ……翔ちゃんの泣きそうな顔が見たかったの……でも何も付けないで中に出すの、気持ちよかったでしょ? 私の中すごく気持ちいいでしょ?」
「う、うん……」
「ああ、明日から毎日、翔ちゃんのあんな顔が見れるのね……毎日してあげる……」
彼女は今度はぼくに頬ずりをした。
「もう、待ちきれなかったの……」
何度も何度も頬ずりをした。
彼女はぼくから降りた。
「翔ちゃん、すごい……すごいいっぱい出したのねえ」
彼女は股間をのぞき、中から垂れて来るのを指で確かめた。
「結婚前の女の中に、こんなに出して、いけない子……」
今度は“いけない子”になった。
彼女はぼくの萎えたペニスに手を添えた。
そして、ぼくと彼女の体液にまみれたそれを口の中に入れた。
全部入った。
彼女の舌が、今出し終えたばかりのぼくの先端を、転がす。
射精したばかりで敏感になっている先端に刺激を受け、ぼくは仰け反った。
「ああっ、麗子さん、やめてっ、だめっ!」
とてつもないくすぐったさが、ぼくを襲った。
ぼくはシーツを掴み、身体をくねらし、もだえた。
麗子さんは、ペニスから口を離すと言った。
「もう、だめな子ね……もう一度始めからよ……」
彼女を見た。
彼女は、ぼくのペニスをしっかりと咥え、満足げに微笑んでいた。
その目は、弱い獲物をいたぶる肉食獣をイメージさせた。
でも、それは、やはりぼくを欲情させる要素ではなかった。
欲情しないでイクことは、本当の快楽ではない……。
でも、明日からぼくは、彼女と暮らすことになる。
多分、一生。
本当の自分を隠しながら……。
本当の快楽を味わえずに……。
でも子どもが出来たら変わるかもしれない……。
麗子さんはペニスから一度口を離すとぼくを見つた。
「私変わったの……翔ちゃんのためにピルを呑み始めたのよ……だって翔ちゃんいつも我慢できないいだもの……」
「麗子さん……子どもは?」
「ふふっ、子どもは……翔ちゃんひとりで十分よ」
そう言うとまたペニスを咥えた。
しかし、彼女の執拗な愛撫にもかかわらず、ペニスはもう立ち上がらなかった。
彼女は苛立ち、ぼくをののしった。
ぼくは謝り続けた。
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