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第16章 choice A 君の想い －純心ー

「家は知られたくないだろうから、最寄り駅まで送るよ。」

駅に到着して私が身支度を整えていると、彼が話しかけてきた。

「ねぇ・・・文さんは今幸せなの？」

「・・・幸せよ。」

私にはそう答える事しか出来ない。

「そっか。今日はありがと。連れまわしてゴメンな。これお土産、あげる。」

彼がさっき買っていたお土産だ・・・。

「・・・貰えないよ。」

「そんな申し訳なさそうな顔すんなよ（笑）お詫びだよ。」

私の頭を愛おしそうに撫でる彼。

「・・・俺のお土産はキスがいいな。文、キスしていい？それで全部忘れるから。」

答えを出せない私を真っ直ぐ見つめる彼の顔がゆっくり近づき、そっと触れるようなキスが頬に落とされた。

「結婚おめでとう。」

そう言って彼の車が去って行った後、なぜか私の目からはポロポロと涙が溢れて止まらなかった。