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SS作品集
第34章 秋を探しに 風太
ケガは何となく分かる。
前に病院に行った時、ケガしたお友達がいたから。
足に何か巻かれて、歩いてなかった。
ボクはケガしてないみたいだけど、葉っぱを壊してヒロが困るのは悲しい。
お家を見ると、ヒロが上の方の窓から見ている。少しすると、ヒロ用のドアって聞いた小さい所から出てきた。
「風太。枯れ葉で遊んでたのか」
「カレハ?」
「春とか夏は葉っぱだったけど、秋になると、枯れ葉になって落ちてくるんだ」
“秋”。
やっと“秋”を見つけた。
「ヒロ。枯れ葉、壊しちゃって、ごめんなさい……」
「枯れ葉は壊してもいいんだよ。後で家の人が掃除するから」
お皿を壊すと困るけど、壊していいものもあるんだ。
「ケガしないの?」
「枯れ葉だけなら、ケガしないよ」
その違いはボクには分からないけど、枯れ葉は壊していい。それにケガもしない。
「あっ」
少し風が吹くと枯れ葉が動いて、ボクは跳びついてしまった。
ガサッとまた壊れる。
「いいよ。風太は遊んでて。僕は日向ぼっこしてるから」
ヒロは壁の近くに座って、ポカポカしていた。
日向ぼっこは“春”みたいだけど、枯れ葉は“秋”。ちょっと不思議だけど、楽しいからいいか。
ヒロは大きな欠伸をしてたけど、僕はまた枯れ葉を壊して遊んだ。
おわり
枯れ葉の音、心地好いですよね。