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SS作品集
第24章 遠足
3628年5月24日 遠足
わたしたちは、ずっと前からえんそくを楽しみにしていました。
リュックを背負ってすいとうを持って。リュックの中には、おかあさん手作りのおべんとうも入っています。
三年生になると、動物園へえんそくにいく。それがわたしたちの学校の決まりだからです。
バスの中では、みんなで歌をうたったりもしました。
動物園までは遠いから、わたしたちはいっしょけんめい歩きました。
自分の足でこんな長く歩くのは、初めてだと思います。
おでかけの時は、おとうさんの車。学校へ行く時は巡回システムの車に乗るから、バスも初めてでみんなも楽しそうでした。
持ち物だってそうです。
荷物はいつも、執事ロボットが運んでくれます。でもえんそくの時だけは、自分で背負う決まりになっていて、二年生まではよく転びました。
動物園には、ネコがしました。生きている、本当のネコです。
いままでインターネットやはく製は見たことがあったけど、生きている本物を見るのは初めてでした。
イヌもいたし、カラスもいました。
ゾウという動物はぜつめつきぐしゅだと勉強したので、もう見られなくなるかもしれないとせんせいにも言われました。
みんなでおべんとうを食べたのも、楽しかったです。
全自動調理器具を使っていないのは、クラスの半分くらいでした。
わたしはおかあさんの手作りだったから、ちょっと嬉しい気持ちになりました。
前の日から準備をして、ご飯は昔の炊き方というのをしたそうです。そのための専用の鍋みたいなものは、一年生になった時に買いました。
おかあさんはインターネットで調べながら、いっしょけんめいおべんとうを作ってくれました。
全自動調理器具を使わなかったから、大変だと思います。
わたしも将来、自分のこどもに手作りのおべんとうを持たせてあげたいと思いました。