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逃げた花嫁と王の執着愛~後宮秘帖~
第3章 紫陽花の夜に
 あの日、彼を魅了したすべて―きらめく宝玉のような瞳は今も冴え冴えと燦めき、膚は以前にもまして透明さを増している。唇がほんのりと桜色なのは、紅をさしているからなのか。とはいえ、あの幼い日も今と変わらず桜色をしていたから、元からの色なのだろう。






 彼女のことなら、どんな小さなことでも憶えている。ソンは娘の唇を魅入られたように見つめた。
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