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逃げた花嫁と王の執着愛~後宮秘帖~
第3章 紫陽花の夜に
 母はいつものように



―樹登りなどしてはなりません。そなたはいずれ王にならるる大切な御身ですよ? 万が一、落ちたりでもしたら、何とするつもりです。





 母は柳眉を逆立てて怒った。それでも、悪阻でろくに食べられなかった母は嬉しげに枇杷を一度に二個も食べたのだ。
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