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逃げた花嫁と王の執着愛~後宮秘帖~
第3章 紫陽花の夜に
 これから運良く彼女を妃にできたとしても、王の寵愛に奢るようなことはないだろうと考えれば、まさに彼女こそが天が遣わしてくれた理想の妻のように思える。






 ソンは今、蓮池のほとりに佇み、凪いだ水面を眺めていた。水面に生い茂る緑の葉が初夏の陽光を受けて煌めいている。その様は、彼の大好きな想い人の瞳を彷彿とさせる。ソンはチェスンの輝くような黒い瞳をとりわけ愛しているのだ。
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