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逃げた花嫁と王の執着愛~後宮秘帖~
第3章 紫陽花の夜に
 ソンは溜息をついた。この場にチェスンがいなければ、髪をかきむしりたいところだ。




「ああ、チェスン、泣くな。俺は何もそなたを責めたのではない。俺も性急すぎた。そなたを早く妃にしたくて、つい事を急ぎすぎた」





 ソンはチェスンに近づき、両手を伸ばそうとして宙で彷徨わせた。こんな時、抱きしめて良いものかと迷ったのだ。結局、意を決してチェスンの華奢な身体を逞しい腕に閉じ込めた。
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