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第3章 紫陽花の夜に

　だから、幼い頃、女官見習いに志願する少女たちは、大抵金欲しさに親に奉公に出されたか、自ら志願した孝行者ばかりである。






　彼女の場合は大人になってからではあるけれど、やはり貧しい家計を助けるためという理由は同じだ。そんな事情からも、彼女と共に暮らしている両親が実の身内ではないとは考えもしなかったというのが正直なところだ。