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逃げた花嫁と王の執着愛~後宮秘帖~
第18章 心の在処(ありか)
 若者はひとたびは諦めたように門に背を向けて歩き出し、かと思えばまた回れ右をして門前にぴったりと張り付く。明らかに怪しい態度である。





 突如として、門の向こう―屋敷の奥から澄んだ声音が響いてきた。若者は、その声にいざなわれるように数歩脚を踏みだし、また立ち止まる。既に彼は邸内―庭に入っているわけで、そこから今度は声の聞こえる方角を探るように見つめているのだった。
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