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第2章 優しい想い出

　少女は頑丈そうな枝に座り込み、枇杷の実を囓っている。プッーと黒い種を続けざまに飛ばし、無造作に口の周囲についた汁を拭った。かと思いきや、また樹を器用につたい降り、塀に飛び移ったかと思うと、塀の真上から一挙に飛び降り、見事に着地を決めた。




「この猿女」





「誰が猿だって？　その年で樹昇りもろくにできないような坊ちゃんに言われたかないね」