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逃げた花嫁と王の執着愛~後宮秘帖~
第3章 紫陽花の夜に
 ソンは足音と気配を殺し、そろそろと声のする方へと近づいた。深い意味があったわではなく、ただ好奇心に駆られたからだ。昼日中から、しかも国王の住まいたる大殿の住まいの近くで、こうも大声を上げているのは何者か? 確かめてみたかったのである。





 とある殿舎の陰に身を潜め、そっと窺えば、すぐ先に二人の女がいた。どちらも女官のお仕着せを纏っている。
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