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ひと月半の恋人
第1章 婚約者

   *


「お!決まったのか?結婚!!」

 たかちゃんが、にかっと笑った。
 
 一月に一回は行く、居酒屋。
 ここに来るときは大抵、ゆうちゃん、たかちゃん、私の三人だ。

「良かったなあ!!おめでとう、由宇、里緒!!」
「ありがとう、隆志」
「ありがと、たかちゃん!!」

 私達三人は、高校からの友達だ。
 正確に言うと、中学校の時の塾からの友達。志望校が同じで仲良くなって、三人揃って高校に合格して、一年二年と、クラスが同じで。さすがに進路はばらばらだったけど、卒業前にゆうちゃんに、付き合ってくれって言われて。
 ずーっと、友達付き合いが続いてる。

「そーかそーか、里緒も遂に人妻かー」
「もー!撫でくり回さないで!髪ぐちゃぐちゃー!」

 たかちゃんの徒名は、触り魔と言う。
 昔はそうじゃなかったんだけど、お酒を飲める年になって、そうなった。
 飲んでみたら、酔うと誰でも触りたくなる性格だった……らしい。

「知るか!綺麗なお前が悪い!」
「やだー、横暴!出た、触り魔ー!」
「うるせ。今から、お前を呪ってやる……」

 おでこをくっ付けられて、至近距離で睨まれる。

「良いか、呪うぞー……しあわせになーれ、しあわせになーれ……」
「きゃははは!言われなくてもなるしっ!」
「あははは!焦点合わねえ睨めっこだなー!!」

 ゆうちゃんも笑って悪ふざけを見てる。
 私達は、会うといつもこんな。

 こんな日が、ずっと続くと思ってた。
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