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キズ×ナデ【Hな傷跡と仮初の愛撫】
第5章   均  


「なんなんだよ……」

 岬ちゃんの部屋を出ると、僕は思わず呟き、その場に立ち尽くした。暫くそのまま、動くことができないでいた。

 彼女の部屋の中で見聞きしたことは、どれも衝撃的なもので、それにショックを受けたこともある。だけど、やっぱり――。

「じゃあ……岬ちゃんにとって、僕は必要じゃない?」

「必要、ありません」

 淀みなく頷いた彼女の顔が頭の中に焼きつき、僕のやるせない気持ちに拍車をかけた。

 岬ちゃんの過去になにがあったとしても、それで彼女を嫌いになったり敬遠したりとか、そんなことにはならない自信はあった。

 問題の大小こそあっても、共に人生の壁にぶつかった者同士。わかり合い、支え合うことこそが望ましいと考えていた。

 だけど、彼女の方は同じようには思ってなかった。

「エッチなことができるから、わたしのこと都合がよかったのではありませんか?」

 続いて思い起こされたその言葉が、僕の胸に突き刺さる。

 どう言い訳しても、メッセージの誤解から関係を進めてしまったことは、僕の中で正当化することができない。

 そもそも美里さんとの経緯から、今回のことに繋がってしまってるのもイメージとして最悪だろう。誤解されてはいけないと部屋まできたのに、岬ちゃんはその点にはまるで興味を示すことはなかった。

 もう本当に、僕のことなどどうでもいいみたいだ。彼女にしてみれば最初から、なにもはじまってなかったのかもしれない。

 つまりは、僕のひとり相撲だった……。

 いろいろ考える内に、自分の駄目さばかりが際立ってくるように感じる。こんな僕が誰かの役に立とうなんて、思い上がりでしかない。

「自分のことさえ、どうにもなりはしないのに……」

 僕は呟きため息を残すと、アパートを後にしてとぼとぼと歩き始めた。

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