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キズ×ナデ【Hな傷跡と仮初の愛撫】
第7章  タモツ 


「いやっ!」

 岬ちゃんは叫び、髪を振り乱す。

「あんな動画だけみせて! 資格がないとか思わせぶりにいって! 最初からあきらめるなよ!」

「ち、違う! わたしは――罪で穿たれた傷跡に、なにも望まないと決めたから!」

「じゃあ、僕の気持ちはどうなるんだっ!」

 力の限り叫んだ後、部屋の中に静寂が訪れていた。

「均くんの、気持ち……?」

 顔を真っすぐに見て頷き、僕は静かに話し出した。

「もう、好きとか嫌いとか、それだけじゃ済まない。僕はもう岬ちゃんのことを、ほっとけないから」

「そういうの、同情っていうんじゃないんですか?」

「そうかもしれない。だけど――」

「?」

「僕は岬ちゃんのことが、誰よりも大事なんだ」

「!」

「それが、恋人かどうかなんてわからない。でも、嘘じゃなく、とても大事なんだよ」

 僕は強く、岬ちゃんを抱きしめた。

 岬ちゃんは嗚咽を漏らしていたけど、その身体の感触はまだ硬いように思った。

 僕は勢いのまま彼女をベッドの上に押し倒し、驚いた顔にキスをする。

「たっ、均くん――?」

「岬ちゃん」

 名を呼んで、今度は深いキスをした。

 もう理屈じゃない。抱いてしまえばいい。それで、僕の気持ちを認めさせよう。

 僕はそう思い、岬ちゃんを抱こうとしていた。だけど――

「わかりました。全部、話しますから」





【第七章・終わり】

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