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キズ×ナデ【Hな傷跡と仮初の愛撫】
第2章  〝岬〟 


「あの……ご、ごめんなさい」

 均くんはとても申し訳なさそうに、わたしを見つめていた。

 さっきまで、いやらしい振動を使って、わたしの身体を沢山いじめた。その彼とは明らかに違っていて、わたしがしっている普通の彼だった。

 どっちが、本当の均くんなのだろう。それとも、どっちも本当の彼なのか……?

 もっとも〝彼の普通さ〟をどこまで理解しているかと言われたら、高が知れている。

 とりあえず今は、コンビニの店員をしている山本均くんだ。元の彼に戻ったことには、ほっとした気持ちが強い。突然、彼が〝変わった〟ときは、正直怖かったから……。

 男の人は、やっぱりそうなのかと考え、胸の奥がズキリと痛んだ。だけど、深く考える前に、すぐ思い直すことができた。

 確かに〝変わった〟彼はとても意地悪だったけれど、してくれた行為の多くはとても繊細なものに感じた。道具を介しても、それは伝わる。

 ちょっぴりイケボになった、その言葉だって、わたしを恥ずかしくさせながらも、どこか安心をくれた。だから――

「……いいんです」

 わたしは言った。

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