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秘密の師範と内緒の愛弟子(ビスカスさんのサイドストーリー)
第2章 その弟子、現る

 ウバシが先代から後継者として指名されてから、十年程が経ちました。

 先代は、ウバシがぼろを出さな……立派に師範として独り立ち出来る様になったのを見届けて、世を去りました。
 ウバシは先代の頃から引き継ぐべきものは引き継ぎ、時流に合わなくなって改めた方が良さそうな事は、恐れず大胆に改革を行って行きました。

 その中に、入門の際の審査に柔軟性を持たせる、という物が有りました。
 先代の頃は、体格、運動能力、性格等を総合的に鑑みて、一定の水準に達しない者は入門を許さない、という掟が有りました。
 ウバシが知る限り、先代がそれを破った事は、一度だけでした。

 ある地方の領主と土地の有力者の両方の伝手を使って、どうみても体格的に不相応な者が無理矢理審査を突破して、入門して来た事が有ったのです。
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