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プロポーズ体験売り出します
第3章 最低一つは売れるはずの商品作り
まり恵ちゃんは大きく見開いた眼をパソコンに近づけたり遠ざけたりと、
意味不明な行動を繰り返す。
そういう姿を見ていると案外冷静さを取り戻せるもので、
俺は予約内容確認ボタンをゆっくりとクリックして、この人の正体を
画面に表示させた。

名前は「芦田弘恵」年齢は・・・50歳?職業はアクセサリー店経営となっている。
うわっ、すげえ、社長?っていうとこよりも、俺が驚いたのはその年齢だ。

「50歳、だそうですよ、へぇ・・・」

別に年齢制限があるわけではないが、自分の親とさほど変わらぬ年齢には
やっぱり違和感がぬぐえない。

「こんな大人の女性がなんでまたプロポーズ体験なんてしてみたいんですかね?」

「あらまた差別的な発言ね。いくつになったって女は女だもの、
 そういう気持ちはあるんじゃない?」

すでにキッチンに戻っているまり恵ちゃんをちらっと見てから俺は
再びパソコンの画面に目を向けた。
4日後に芦田弘恵という50歳の女性がやって来る。詳しい話はその時に聞ける。
水神さんの事より今は断然こっちのほうに興味が湧いてきている。

「水神さん、残念ね、一番乗りだと思っていただろうに。
 まあ、二番だってなんだって目的が果たせればそれでいいんだろうけどね」

言いながらまり恵ちゃんが俺のデスクにコーヒーと、
俺の大好物のコンビニシュークリームをそっと置いた。



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