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不器用な夫
第30章 おかえり
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元々、ハコはジーニアス扱いの子だ。
アメリカの学校ならスキップが出来るはずだった。
それを日本国籍だからと日本の学校に入り、日本語に不慣れなハコはスキップが出来なかった。
そんなハコならば里帰りをすれば1年で高校を済ませて帰って来ると僕は考えた。
ハコの方は日本に戻ればまた短大に通わされると僕に反発して大学まで卒業する道を取った。
「なら、日本ではもう学校に行かないのか?」
「専門学校には行くよ。」
ハコが僕に笑顔を見せる。
今のハコは茅野の母親が扱うブライダル事業でデザイナーの仕事をしてる。
「でも、ハコの絵は下手くそ過ぎるって兄様が馬鹿にするの。」
ジーニアスでも絵は下手らしい。
日本のデザイン学校で絵の勉強をするとハコが自分の見つけた道を僕に話す。
公平が待つ車が僕とハコにクラクションを鳴らす。
「うちの鍵なら公平が持ってんだろ?」
「生憎ですが坊っちゃまの部屋の鍵は荷物に詰めて宅急便で送ってます。」
「坊っちゃまって言うな。」
「まだご主人様と呼べる立場ではありませんよ。」
30を過ぎて坊っちゃまと呼ばれる事に屈辱を感じる。
「少しは成長をされたのですか?」
公平とハコが疑うように僕を見る。
そりゃ、ハコほどの成長はしてませんよ。
いじける僕をハコが笑う。
家に帰りハコが僕の夕食を作ると騒ぎ出す。
「帰って来たばかりで疲れてるだろ?」
「貴方の妻を信じなさい!」
ハコがフンッと鼻息を荒くする。
公平が不安な顔を僕に向ける。
「茅野家はどうだった?」
「なんと言うか…、毎日が嵐です。」
公平が2度戻りたくないと身震いをする。
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