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不器用な夫
第4章 実家



それが国松家の男だから…。

呪われし秘密に僕は押し潰されそうな気分になる。


「要さん…。」


ハコが僕の背中に抱きついて来る。

僕の身体に巻き付くハコの手を取り僕はその小さな手に口付けをする。


「ゆっくりと…、ハコの事を知りたいだけなんだ。」

「わかりました。」


ハコが僕から離れて着替え始めると僕もハコに背を向けたまま普段着に着替えをする。

振り返るとハコが少し大人びたワンピースの姿に変わってる。


「ハコはそういう姿の方が可愛いよ。」


僕の言葉を疑うようにハコが僕の前に立つ。


「本当に?」

「うん…。」


ただ可愛いだけで居て欲しいと僕は願う。

ハコの小さな顔を両手で包むようにして僕はハコにキスをする。

鼻と鼻が少し擦れ合うキス…。

ハコが僕の服にしがみつき僕はハコの身体を抱きしめてキスを繰り返す。


「要さん…。」


少し潤んだ瞳でハコが僕を見る。

普通の男なら喜んでハコを押し倒すのだろう。

僕はそれが簡単に出来ない。


「んはぁ…。」


頬を紅潮させて全身の力が抜けたハコが僕に体重を預けて来る。

僕はそのハコの腰を引き寄せる。


「今夜は国松家で夕食だから、口元を引き締めて涎を拭かないと恥ずかしいよ。」


だらしなく口を半開きにしたままのハコが慌てたように口元を自分の手の甲で拭い口を引き締める。


「国松のお家で?」

「金曜の夜だけね…。」


僕が一人暮らしをしてからの習慣みたいなものだ。

携帯のメッセージ機能を使い公平に連絡を入れる。


『そろそろ出掛ける。』


そのメッセージに返信はない。

メッセージが既読された事だけを確認すれば僕はハコを連れて家から出る。


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