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狂恋 ~狂おしい恋に身を焦がす~【BL】
第2章 一年後
オレは利人と共に、飛行機のファーストクラスに乗っていた。

「すみません、雅夜。自家用ジェット機、今メンテナンス中でして…」

「いや、いい。普通の飛行機でいい」

と言うより、ファーストクラスに乗っている時点で良い。

ちなみにこれからオレ達が向かうのはアメリカ。

そこには利人のご両親がいて、改めて秘書就任の挨拶に行かなくてはいけないのだ。

利人のヤツ!

まさか本当にウチのダメ営業部を立て直し、あまつさえ今年度の営業成績ナンバー1にするとは思わなかった!

…せめて3位ぐらいだと思っていたのに。

あれからオレはすぐに引っ越しを強制され、利人と共に暮らしていた。

オレは相変わらず事務で頑張っていた。

利人は本当に頑張って、あらゆる努力をして営業部の人間を奮い立たせ、全員をヤル気のある社員に変えてしまった。

その影響か、他の社員達もヤル気を出し、おかげさまで営業成績がうなぎ上りどころか、ジェット機上りだった。

居心地が良かった職場はすっかり変貌してしまい、オレは逆に居心地の悪さを感じていた。

そんな中、利人の期間が終了。

泣きながら子会社の人間達に縋られるも、アッサリ振り切って、会社も退職。

今では華宮グループの正式な後継者として、動き出している。

そしてオレも…コイツが退職する時に、同じく会社を辞めていた。

利人の正式な秘書になる為に。

「でも秘書って何をすれば良いんだ? そもそもお前の方が優秀なんだから、秘書なんていらないだろう?」

『秘書になる為の必勝法!』という怪しげな本を読みながら、思わず愚痴った。

「ええ、私に秘書は必要ありません。全て自分一人で何とかできますから」

「じゃあ何でオレなんだよ?」

ブスッとしながら言うと、左手を持ち上げられた。

薬指にはプラチナリングがある。

「ずっと一緒にいてくれるんでしょう?」

利人は自分の左手を上げて見せる。

オレがしているのと同じデザインのリングが、利人の薬指にもはまっていた。
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