この作品は18歳未満閲覧禁止です
![](/image/skin/separater37.gif)
- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
狂恋 ~狂おしい恋に身を焦がす~【BL】
第1章 10年ぶりの再会
![](/image/mobi/1px_nocolor.gif)
「ええ、そうですね。もう十年ぶりですね」
利人は笑顔で扉を閉め、オレの向かいのイスに座った。
「休憩中でしたか?」
「あっああ。お前は?」
「挨拶回りの途中です。ちょっと疲れたんで、休憩しに来ました」
「そうか…」
…間が、持たない。
と言うより、オレの心臓がさっきから痛んでいる。
これは罪悪感か?
それとも十年前のような過ちを犯すなという、自らの警告だろうか?
「…じゃ、オレは戻るから」
「待ってくださいよ」
立ち上がると、利人に腕を掴まれた。
掴まれた腕が痛い。強い力だ。
「…何だよ」
利人の色素の薄い琥珀色の眼を、真正面から見つめる。
「話があります。今夜、空けといてくれませんか?」
「お前の方がムリだろ? 歓迎会、あるんじゃないか?」
「予定があるので、後にしてもらいました」
予定というのは、やっぱりオレのことだろうな。
「オレはお前に話しなんかない」
「私はあります。例え一晩かかってもいいぐらいにね」
利人の表情は笑顔ながらも、その眼は激しい感情を宿していた。
ここで逃げても、利人はまた追ってくるだろうな。
オレはため息をついて、諦めた。
「…分かった。どこで話をする?」
「私のマンションに来てください」
そう言ってオレの腕を放し、胸ポケットからメモを取り出した。
「ここが私の新居です」
メモを受け取り、頷いた。
「仕事が終わったら行く。もしかしたら残業が入るかもしれないが、八時には行けると思うから」
「分かりました。お待ちしています」
そう言って利人は休憩室を出て行った。
終始、固まった笑顔で。
「でも…そうさせたのは、オレ、か?」
呟きをもらし、メモを見る。
会社から三十分ほど先にある、住宅街の高級マンションの名前が書かれていた。
思わず苦笑してしまう。
「相変わらず、親に可愛がられてんだな」
利人の父親は日本人で、大企業をいくつも抱える華宮グループの会長。
母親はイギリス人のトップモデルで、一人息子の利人はそれこそ蝶よ花よと猫かわいがりされて育った。
おかげで成績優秀、容姿端麗、対人関係も良好に築ける立派な息子ができたワケか。
「でも、性格と好みに難があるよな」
そこが人間らしいところか。
オレは二度目のため息をつきながら、缶コーヒーを開けて飲んだ。
いつも飲むより、苦く感じられた。
利人は笑顔で扉を閉め、オレの向かいのイスに座った。
「休憩中でしたか?」
「あっああ。お前は?」
「挨拶回りの途中です。ちょっと疲れたんで、休憩しに来ました」
「そうか…」
…間が、持たない。
と言うより、オレの心臓がさっきから痛んでいる。
これは罪悪感か?
それとも十年前のような過ちを犯すなという、自らの警告だろうか?
「…じゃ、オレは戻るから」
「待ってくださいよ」
立ち上がると、利人に腕を掴まれた。
掴まれた腕が痛い。強い力だ。
「…何だよ」
利人の色素の薄い琥珀色の眼を、真正面から見つめる。
「話があります。今夜、空けといてくれませんか?」
「お前の方がムリだろ? 歓迎会、あるんじゃないか?」
「予定があるので、後にしてもらいました」
予定というのは、やっぱりオレのことだろうな。
「オレはお前に話しなんかない」
「私はあります。例え一晩かかってもいいぐらいにね」
利人の表情は笑顔ながらも、その眼は激しい感情を宿していた。
ここで逃げても、利人はまた追ってくるだろうな。
オレはため息をついて、諦めた。
「…分かった。どこで話をする?」
「私のマンションに来てください」
そう言ってオレの腕を放し、胸ポケットからメモを取り出した。
「ここが私の新居です」
メモを受け取り、頷いた。
「仕事が終わったら行く。もしかしたら残業が入るかもしれないが、八時には行けると思うから」
「分かりました。お待ちしています」
そう言って利人は休憩室を出て行った。
終始、固まった笑顔で。
「でも…そうさせたのは、オレ、か?」
呟きをもらし、メモを見る。
会社から三十分ほど先にある、住宅街の高級マンションの名前が書かれていた。
思わず苦笑してしまう。
「相変わらず、親に可愛がられてんだな」
利人の父親は日本人で、大企業をいくつも抱える華宮グループの会長。
母親はイギリス人のトップモデルで、一人息子の利人はそれこそ蝶よ花よと猫かわいがりされて育った。
おかげで成績優秀、容姿端麗、対人関係も良好に築ける立派な息子ができたワケか。
「でも、性格と好みに難があるよな」
そこが人間らしいところか。
オレは二度目のため息をつきながら、缶コーヒーを開けて飲んだ。
いつも飲むより、苦く感じられた。
![](/image/skin/separater37.gif)
![](/image/skin/separater37.gif)