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MILK&honey
第6章 「……へんな、人……っ」

   *


「脱いだら、置いといて。で、着替え終わったら、戻って来て」

「……あのっ……!」

 気が付いたら、渡された着替えと一緒に、洗面所に押し込められてた。

 脱いで、着替えてって……ほとんど知らない男の人の家で?
 一応、お兄ちゃんの高校の友達みたいだけど……お節介な人っぽい。
 着替えなかったり出て行かなかったら、うるさそう。

 そーっと扉に近付いてみたけど、覗かれたりはしてないみたい。
 仕方なく、一度脱いだあと袖を通さないで肩にかけてたカーディガンと、ブラウスを脱ぐ。
 ふと、鏡が目に入る。
 泣いたのが、丸わかりの顔……


『どうして、カーディガン着てるの?』

 どうして気が付いたの?放っといてほしいのに。

『……どうしたの、それ……』

 どうもしない。知らない。余計なお世話だ。

『なんか困ってて、手伝えるなら』


「……もうっ……!!」

 急に腹が立って、脱いだブラウスを衝動的に壁に投げつけた。

 無責任に、親切にしないで!
 構わないでよ、大丈夫なんだからっ……。
 
 ブラウスは、洗濯機の後ろに落ちた。
 深呼吸して落ち着いてから、それを、拾っ……
 
「え?……ブラっ……」

 ブラ……ウスと一緒に拾えちゃった、派手な紫の、レースのかたまり。

 ショッキング紫の、ブラだった。
 
 
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