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借金のカタに妻を差し出しました
第1章 借金
次の日の朝、久しぶりに和明と瑞樹はコンビニにいた。

昨日の夜、エリアマネージャーから、電話があり、瑞樹も同席の上で話しがあると伝えてきた。

和明は夜通しの仕事をした後、仮眠をしながらエリアマネージャーを待っていた。

エリアマネージャーが持って来たのは、朗報と呼んで良いものであった。

昨日、本部に電話があり、コンビニの借金を肩代わりし、経営も引き継ぎ、夫婦もそのまま給与を払いながら雇いたい旨であった。

「奥さん、矢那晋一郎と言う方をご存じですか?高校の同級生だそうですが?」

その名前に瑞樹は確かな覚えがあった。

瑞樹が通っていた高校は地元の商業学校で、矢那は三年間同じクラスであったが、個人的なつながりは無かった。

矢那について覚えているのは、勉強はできたが、貧乏でサイズの合わない学生服、自分で髪を切ってボサボサの頭。

いつも「お金が無い」と言ってクラスのみんなで遊びに行く時も、一人だけ行かず、修学旅行も只一人不参加だった事を覚えている。

卒業後は、就職した筈だがその先は覚えて無かった。

「取り敢えず、奥さんから矢那さんに直ぐに電話をしてもらえませんか?」



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