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家に桜の木が有るんだけど花見しないかと彼女を誘ってみた話
第3章 唇に、ひとひら

「おい」
「……なぁに?」

 ブランケットを掛けた下で、しなやかな体がもぞもぞと妖しく蠢く。

「……ここは飲食だけじゃなく、淫らな行為も禁止だぞ?」
「淫らじゃないもん……」
「いかがわしい行為か?」
「いかがわしくもないってば……」
「じゃあ、何だ」
「……気持ち良くて、幸せな行為?」

 ほんの小さな面積しか無いレースをすっかり湿らせるほど滴った泥濘に、脇から無理に指を埋めてぬちぬちと掻き回しながら考える。

「……それは、禁止されてねぇな……」
「んっ……でしょ?……あ……」
「大声で騒ぐのは、禁止だぞ?カメラも有るしな」
「えっ!?」
「おっ」

 カメラが有ると言った途端、彼女の中がきゅっと締まった。

「何この位で感じてんだ、尻軽娘」
「もう、尻軽じゃないもん……他の人と、しないもん……」

 吐息に近い声が囁く。

「尻軽じゃ無くなっても、エロ娘なのは変わんねーのな。覗かれんのが良いのかよ」
「あっ、ゃん……ほんとに、カメラあるの……?」
「有るぞ?でも覗きの為じゃねぇよ。セキュリティの為のカメラだ、馬鹿」
「あ、そっか……ん!……んっ……は……」
「……そろそろ、戻るか」

 セキュリティの為でもなんでも、カメラが有るのは本当だ。このままここでは、色々マズい……大したことも、出来ないし。

「やだぁ……もうちょっと、っ……」
「我が儘言うな、お姫様。立てねぇなら、抱っこして連れてくぞ」
「だって……あとちょっとで、イきそ……」

 すっかり潤んで、瞼に朱が差している目を伏せる。
 満開の桜も負けそうな程、凄絶に色っぽい。
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