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歳下の悪魔
第3章 新たな顔

◆◇◆ ◆◇◆ ◆◇◆ ◆◇◆
「んっ……」
いつもと、日差しの入ってくる方向が違う。それに、少し頭も痛い。
私はベッドに起き上がり、昨夜の地獄を思い出した。
既に、麗菜と大地はいない。和真の姿もなかった。
「あっ、おはよう。まず、シャワー浴びてくれば? 服とか下着は、洗濯と乾燥してるから。脱衣所にある、バスローブ着てて」
全裸のまま和真に案内され、脱衣所へ入る。
あのリビングも広かったし、脱衣所も浴室も広い。廊下を通ってきた時に、他にも部屋のドアがあった。新入社員の給料で、家賃が払えるのが不思議だ。
私は、大学時代からのマンション。引っ越せないことはないが、結婚したら新居へ移ると思っていた。結婚資金の貯金と、世話になった親への仕送り。それでも特別職の私には余裕があったが、1人なら今の所で充分。
不思議に思いながら鏡で確認したが、またウエストに縄の跡が増えている。
昨夜言われた、奴隷という言葉を思い出す。
歓迎会の夜にセックスをしてしまったから、恋人と勘違いしているわけじゃない。和真はただ、奴隷が欲しかったのだろう。
何でも言うことを聞く、性奴隷。和真は私のことを、飼っているつもりなのだろうか。でも私に、逃れる術はない。
手首を縛られないだけでも、有難いと思ってしまう。本当は、それ自体がおかしいのに。
入念にシャワーを浴び、言われた通りにバスローブを着てリビングへ向かう。
いい匂い。
リビングの中央に、テーブルが出してある。載っているのは2人分のサラダに、ベーコンエッグとトースト。
「食べよう。お腹空いただろう?」
和真が、笑顔を見せる。
会社でのものとは少し違うが、悪魔と言えるようなものでもない。
私がテーブルへ着くと、バターケースを渡された。無言のままトーストに塗り、和真に戻す。
何だか、いつもの彼と違う。
「いただきます……」
私は戸惑いながらも、久し振りに完食した。
「あっ、手伝うから」
「いいよ。優華は客なんだから、座ってて」
食器の片付けが終わると、コーヒーサーバーが出てくる。インスタントではない。少し前から、キッチンの方でコーヒーメーカーの音がして、いい香りを漂わせていた。

