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歳下の悪魔
第3章 新たな顔

「ちょっと、洗濯機見てくる」
和真がリビングから出ると、溜息が漏れてしまう。
さっきチラリと見たが、洗濯機は自動でシワ伸ばし乾燥までするものだった。それだって、高価だろう。男性の1人暮らしだから、必需品なのかもしれないが。
元彼の洗濯は、週末によく私がやっていた。洗濯機だけでも、後はベランダに干せばいい。帰る頃には乾いている。
食事も作ったりしていた。そう思うと、私は便利な女だったのかもしれない。
他に女性がいるかなんて、考えたことはなかった。部屋に痕跡は無かったから、二股というわけじゃなかったんだろう。
何となく、また溜息。誰に対してか分からない。
「乾いたよ。でも、フリルとかが変になってる。風で、シワを伸ばすはずなのに」
和真は不満そうな面持ちだけど、細かいフリルまでは無理だろう。外干しして、細かい部分は手で整えておかないと。
彼が洗うのは、普段着やワイシャツのはず。会社に着ていくワイシャツなら、その乾燥方法でいいかもしれない。
「でも、スカートは、シワになってないね……。」
「これじゃ、出掛けられないよね。一度優華の家に戻る?」
「うん……」
出掛けようと言っているんだから、部屋で変なことはしないだろう。
「じゃあ、一度それに着替えて。寄ってくから」
何故だか、和真は楽しそうだった。会社で見せるような笑顔。
私は下着もある洗面所で着替え、彼に誘われるまま地下まで降りた。そこにあったのは、駐車場。
部屋数も多く駐車場付きだなんて、和真のことが益々分からなくなる。
「乗って」
「ん……」
車は国産でも、高級車と言える部類だろう。車には詳しくないが、フォルムで何となく分かる。
私がシートベルトをしたのを確認すると、車が走り出した。
「まずは、優華のマンションだね」
車なら、お互いのマンションはそう遠くない。昨夜タクシーで来たから、それだけは分かる。
「あ……」
「どうしたの? 忘れ物は、無いか。荷物はバッグだけだもんね」
「このバンド、好きだから……」
流れているのは、以前から私の好きなバンドのアルバム曲。

