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歳下の悪魔
第3章 新たな顔

「優華? どうしたの?」
俯いていた頭を、ポンポンとされた。
「ううん。何でもない……」
「なら、いいけど。後、半分くらいかなあ」
和真が背伸びして、前の方を見ている。
「実は俺、絶叫マシンって、初めてなんだけど」
「えっ。じゃあ、やめる?」
「優華の好きな物に、チャレンジしておきたいから」
自分でも、会話が恋人同士のようだと思った。
何となく顔が紅(あか)くなり、また俯いてしまう。
考えられないことなのに。恋人になって、あんなセックスを続けるのも嫌。第一、私は和真の奴隷でしかない。勿論私だって、彼を好きになるなんて考えられない。
やっと順番が来て、ジェットコースターのシートに座った。
「マジでドキドキするよ」
和真は、前のバーをしっかりと握っている。
「うわあっ」
走り出した途端、彼が声を上げた。
これなら、触られる心配もないだろう。和真には多分、そんな余裕がない。
山場の時、彼は周りを真似て両手を上げていた。充分楽しんでいたようだ。
「楽しかったー。次はどれにする?」
和真はすっかり乗り気。
他のジェットコースター2つと、船型の絶叫マシンにも乗った。
「今まで乗らなくて、惜しいことしたなあ」
本当に子供のように言う和真に、つい笑ってしまう。
パラソルの付いたテーブル席で、彼はジャンボホットドッグ。私はジュースだけで休んだ。
「そろそろ帰ろうか。道も混みそうだし。また来よう?」
楽しそうな和真にまた手を繋がれ、車まで戻った。
「優華。ちょっと……」
「え?」
助手席に乗ろうとすると、腕を引かれる。
「な、に。んっ……」
和真にキスをされた。
私は呆然としたまま。少しして彼が離れ、助手席のドアを開けてくれる。
和真と、キスをしてしまった。
2人とも無言のまま、車が走り出す。
私は混乱した頭で、シートに身を預けた。

