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歳下の悪魔
第4章  目論見(もくろみ)



「優華先輩。これって、俺にも成分解析出来ますか?」
 和真が、機械から出たデータを差し出す。
「ん……。それより、これと、これやってみて」
 私は、比較的簡単なデータを差し出した。
 彼を馬鹿にしたわけじゃなく、新人はみんな同じ。ぱっと見、簡単そうなデータから練習する。その後確認をするのは二度手間でも、和真にも早く、パソコンでの解析が出来るようになって欲しい。課の戦力になれば、みんなも楽になる。
「分かりました。頑張ります」
 爽やかに言った和真は、すぐ自分のデスクへ行った。
 土曜日の彼は、少し上から目線の彼氏気取り。今は忠実な部下。
 不思議なのは、和真のマンション。ブルーレイを観た部屋の奥にもドアがあったから、少なくとも2LDK。リビングと続きにはなっていたが、キッチンは別でアイランドキッチンがあった。
 新入社員の給料で、住めるような部屋じゃないはず。私でさえ、家賃が厳しいかもしれない。それも一室は、ブルーレイや音楽を楽しむだけに使っている。
 そう言えば、日曜日に和真は来なかった。土曜日に出歩き、疲れただけだろうか。
 そんなことにも、私は別の意味の恐怖を感じる。
 週に何度も訪れ、私を辱めた。その後は自宅へ連れて行き、他人のセックスを見せる。
 見られる側の2人は、そういったことが好きだから構わないだろう。私には無理でも、他人の性的趣向を非難する気はない。
 和真の縛るだけのセックスも、相手が好むなら自由にすればいい。
 でも、私は違う。
 少なくとも、縛られたり他人に見せるのは嫌だ。
 考えてみると、和真がしていることはセックスなのだろうか。
 私の中でのセックスは、愛撫し合って挿入する。大多数の人間が、そうしていると思っていた。それとも、私が凝り固まっているだけなのか。
 イくのは私だけ。和真は縛るだけで、挿入も射精もしない。
 もしかしたらと考え、顔が紅くなりそうだった。
 最初にセックスをした時、私の秘蕾が気に入らなかったのだろうか。それなら私を見て楽しんでおいて、家に帰ってから自慰をしているとか。
 でもそれは、屈辱ではない。和真の好みに合わなかっただけ。



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