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歳下の悪魔
第4章  目論見(もくろみ)


 真面目な人なんだろう。緊張している様子も、場慣れしていないようで好感が持てる。
「そろそろ、席替えしようぜ」
 隼人が言い出し、男性3人が女子と入れ替わった。
 元々の女子側に残ったのは、私と博美だけ。男性に挟まれる形になり、奥には隼人。反対側には誠が座った。
「優華ちゃん。真面目なヤツ、キライ?」
 隼人に訊かれて、首を振る。
「誠さあ、いいヤツなのに、口下手だから、彼女出来ないんだよー」
「俺は、別に……」
 誠は照れたように、呑み物を口にした。
 最初から見ている限り、悪い人ではなさそうだ。和真から激しいことをされたせいで、余計にそう思うのかもしれない。
「構ってやってよー。ねっ」
 隼人も最初はチャライだけだと思ったが、友達思いなんだろう。前のみなみと話し出した。
「あの……。理系、なんですよね?」
 誠の方から口を開く。
「はい。子供の頃から、不思議な物に興味があって」
「不思議な、物?」
 誠が首を傾げた。
「子供の頃ですけど。夜が来るだけでも、太陽はどうしたんだろうって。思いませんでしたか?」
「確かに。そうですよね」
「あっ、理系の話なんて、つまらないですよね。変わり者とか、思われて……」
 誠は、力強く首を振る。
「そんなこと、ありません!」
 その声で、みんなの視線が集まった。
「話が盛り上がってる、だけだよな? 誠はすぐ熱くなるから」
 隼人がフォローすると、みんなは笑ってからまたそれぞれで話し始める。
「すみません……。普段は、どんな仕事を、してるの?」
 素人にも分かりやすいように説明した。他の部所にもよく訊かれるから、それには慣れている。
 誠は、興味深げに聞いてくれた。
「こういう所の料理でも、不味いとか思うの?」
「ううん。味見はしないから。あくまで、データだけなの」
「良かった。この店、俺が勧めたから」
 ホッとした笑顔に、親近感が沸く。
「いつもは、誰と来るの?」
「いつもは、1人で。カウンター席も、あるから」
 嘘をついているとは思えない。本当に、彼女がいないんだろう。
 いつの間にか、誠も敬語じゃなくなっていた。それが何となく嬉しいと思ってしまう。
 久し振りに、会社の男性以外と色々話した。



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