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幸せの頂点
第2章 栄転



克とは違う男…。

克の方が断然にイケメンでカッコいい。

フンッと部長から顔を背けて窓の外を眺める。

流れる景色は30分もすれば横長の田舎の風景へと移り変わる。

そっと欠伸をする。

暖かい…。

狭い座席で部長の体温を感じる。

寝ちゃダメ…。

頭ではそう思うのに重い瞼に耐えられずに目を閉じてしまう。

ふかふかのベッドに居る感覚。

あっという間に睡魔に引き込まれる。

無意識のまま部長の広い肩にもたれて深い眠りに落ちていた。


「起きろ…。」


野太い声に目を見開く。


「涎…、出てんぞ。」


私の目と鼻の先にニヤニヤと笑う部長の顔がある。

そっと部長の指の節が私の唇の端に触れる。


「やだっ…。」


部長の隣で本当に涎を流して熟睡してたとか恥ずかしくて死にたい。

慌てて自分の口元を手で覆えば、くっくっと笑い声を堪えるように部長が笑ってる。


「涎は嘘だよ…、その代わりにガキみたいに可愛い寝顔だったけどな。」


意地悪に笑う部長を大っ嫌いだと思う。

顔が信じられないくらいに熱かった。

部長には初心な少女のような態度しか取れない。

キャリアウーマンを目指し、大人の女として生きて来たつもりなのに…。

克に相応しい女になったのに…。

部長の前ではただの小娘にされてしまう。

顔を上げる事すら出来ない。


「そろそろ…、着くぞ。」


部長がゴツゴツとした大きな手で私の頭をポンポンと軽く叩くようにして撫でる。


「止めて下さい…。」


無闇に触ればセクハラだと牙を剥く。

所詮はキャンキャンと吠える仔犬の牙。


「お前…、怖い女だなぁ…。」


とぼけたように部長が言う。

可愛くなんかなれない。

部長の前では、いつもの自分になれなくて悔しさしか感じない。

唇を噛み締めて俯いた。

目的地である駅に着き、部長は私を見もせずに駅のホームへと降り立つ。

広い背中…。

今の私はその背中を追いかけるだけで精一杯の小娘でしかなかった。


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