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幸せの頂点
第16章 決意



連休の百貨店は目まぐるしい。

普段の3倍は人が集まり、店員は忙しなく店内を走り回る。

それは私も同じ立場。

店とバックヤードを往復する毎日…。

その方が良かった。

余計な事を何も考えずに済む。

決着を着けたら帰って来い?

そう言った人の姿すら見られずに何処に帰れば良いのかと叫びそうになる。

休憩と連休明けの発注をすべく、食品部の事務所に戻れば高崎さんが私を呼び止める。


「阿久津さん、連休明けはどのタイミングで休むか決めてる?」


連休明けは自由に2日間の休みが取れる。

他の人とのシフトの関係で高崎さんが調整してくれてるらしい。


「私はどこでも良いですよ。」


今更、休んでも予定なんか存在しない。


「飛び飛びになっても?」

「構いません。」


高崎さんが小さくありがとうと言う。

どうやら金子さんと三浦さんが連休明けの週末を取り合いして揉めている。

今の私に休憩は欲しくないと思う。

仕事の事だけを考える。

他の事を考えると泣きそうになる自分がわかる。

泣いても仕方がないとわかってても誰かに縋りたいと気持ちが揺らぐ。


「お疲れ様でした。」


まだ連休明けのシフトで揉めてる高崎さん達よりも先に職場を出た。

今は父の夕食を作るのが私の役目。

遅番の日は作り置きになるけど早番の日は父と食事をするように心掛ける。


「紫乃の料理は母さんと同じ味がする。」


そんな当たり前を父が言う。


「お母さんの作り方しか知らないもん。」

「水曜日は父さんのご飯は要らないから。」

「今週の?」

「毎週、水曜日は外で食事をするんだ。」


何故、毎週水曜日?

地味な父が今更、女性とデートとかするようには見えない。


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