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幸せの頂点
第17章 場所



佐伯部長の後任は高崎さんが務める事になった。

部長になった高崎さんはしばらくは皆んなの自由にやればいいと言って前の部長の時と変わらないやり方をしてくれる。

但し、新商品の探索は各自でやる事になる。


「バイヤーの俺に佐伯部長みたいな凄い情報を求められても困るよ。」


高崎さんがそう言って苦笑いをする。

皆んなは本来のバイヤーは自分で情報を探すものだからと高崎さんには部所の統括だけをお願いした。


「やっぱり佐伯部長みたいな情報を手に入れるって簡単じゃないよな。」


金子さんがボヤく。


「佐丸の力もあるんだろ?佐丸で要らないと判断した商品をこっちに回してただけじゃねえの?」


三浦さんや山内さんも佐伯部長のやり方は普通の人には無理だと言う。


「阿久津さんは次の商品の目処はついた?」


山内さんに聞かれて横に首を振る。

市場に入った新しい商品を百貨店の開店前に見に行く努力はしてるものの、これだと感じる商品にはまだ巡り会えてはいない。

前の店舗では、そのやり方でそれなりにやれた。

今は部長よりも良いものを仕入れたいという気持ちから妥協が出来ずに契約に至らない。


「ご飯でも食べに行こうか?」


昼休みに高崎さんから声を掛けられた。

最近の私は何故か高崎さんとランチをする。

前に部長と来た事があるお蕎麦屋さん。

実は高崎さんの行き付けのお店らしい。

もっぱらの話題は…。


「だから杏奈ちゃんはあのファッションにプライドがあるんですよ。」

「けど遊園地でデートってわかっててあのファッションは金子が可哀想だと思うよ。」


ロリータ杏奈ちゃんに金子さんが熱を上げた為に何故か高崎さんと応援中という状況になってる。


「女性の場合、ファッションのこだわりって譲れない部分なの?」


高崎さんが苦笑いをして聞いて来る。


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