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幸せの頂点
第9章 感覚



厳つくて無骨で俺様のくせに…。

スマートなイケメンよりも断然にカッコいいとか思っちゃう。


「乗れ…。」


響く声で命令する。

悔しいのに逆らえずに助手席に乗り込む。

黙ったまま車を出す。


「どこに行くの?」


質問には答えてくれない。

その代わりに…。


「まだ俺の紫乃か?」


虎が唸った。

身体中がザワザワする。

返事が出来ずに俯いた。


チッ…。


舌打ちされてビクリと身体が強張る。

車がいきなりUターンする。

帰れって意味?

間違いなく部長が怒ってる。

私が克の恋人のままだから…。

おかしくない?

今の状況を知った克が怒るのは当然だけど部長は浮気相手って立場だよ?

克が居る事を知ってて私を抱いたくせに…。

何よりも…。

部長には好きな人が居るんだよ。

そう言った里緒ちゃんの言葉が頭から離れない。

怒らないでよ…。

貴方と居るのが怖くなるから…。

ますます克と別れ辛くなるから…。

自分勝手な我儘は言えずに唇を噛み締める。


「着いた…。」


部長がぶっきらぼうに言う。

どこをどう走って来たのかわからない。

車が停まってるのはどこかで見た事があると感じさせる、いわゆる地下駐車場。


「ここは?」

「さっさと降りろ。」


いつもの命令形。

モタモタと車から降りれば部長が店内入り口の案内に沿って歩き出す。

大きなエレベーターフロア…。

うちの百貨店じゃない…。

まさか!?

この地域にある百貨店は2つ。

全国規模の一流ブランド百貨店…。

地方百貨店とは違い、海外の老舗ブランドが立ち並ぶ本物の高級百貨店…。

そんな店に部長が私を連れて来た。


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