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アリョーナの旅路
第1章 アリョーナの旅路
「アリョーナ…アリョーナ…一体どうしたのよ?」

アタシは、ナスティアにこう言われましてはっとわれに帰りました。

「アリョーナ…一体どうしたのよ?」

アタシは、ナスティアに右の首筋の傷のことを言いました。

「あのね…右の首筋の傷のことだけど…」

アタシは、コーヒーをひとくちのんでからナスティアにわけを話しました。

「あのねナスティア…ハバロフスクを飛び出した後に、シベリア鉄道に乗って…モスクワを経由してサンクトペテルブルグまで行ったの…サンクトペテルブルグのピロシキカフェでバイトをしていた時に知り合ったドイツ人の男の人と知り合って…お付き合いをして…そして…フライグブルグで結婚をしたのだけど…ヒモだったのよ…その時に…ダンナと大ゲンカになって…」
「その時に、ダンナからのDVで…首筋を思い切り噛まれたのね。」
「うん。」
「それで、あんたは結局どうしたのよ?」
「ダンナの実家に怒鳴りこんで…50万ユーロをぶん取って来たわ…だけど…これでアタシの気持ちがおさまったとは思っていないわよ!!だから…アタシが生きている限りは、ダンナのことは許さないわ!!」
「そんなことがあったのだ。アリョーナ…」

アタシは、別れたダンナのことを思い出しただけでも悔しくて悔しくて…たくさん涙を流しても、アタシの気持ちがいやされることはありませんでした。

もうたくさん…

結婚なんかはしたくないわ…

アタシはこの時、結婚よりもまずはバイトとアパートを探すことから始めなくてはなりませんでしたので、立ち止まっているヒマは1分もありませんでした。
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