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ラブ・アンド・セックス
第1章 大きな舞台に立ちたい!
「ないわよ。あるわけないでしょ」

「全然ないの? 少しは興味があるんじゃない?」

「興味ないわ」そう言うと麻衣は身体を起こして片ひじをついた。上からオレの顔をじっと見つめてくる。「まさか翔平くんは、他の女の人としたいと思ってるの!?」

まずい。やぶ蛇になったようだ。

「オ、オレだってないよ」

慌てて否定した。

「本当に?」

「本当に……」麻衣は、いかにも怪しいという目でオレを見ている。お見通しのようだ。しかたない。「でも、ちょっとは興味あるかな……」オレは付け足した。

「ほら、やっぱり」麻衣は、あきれた顔をした。「オスカー・ワイルドも言ってたわ。男は最初の男になりたがり、女は最後の女になりたがる、って」

「へえ、うまいこと言うな。確かにそうかも知れないね」

「でも、浮気したら許さないわよ」麻衣が手をオレの股間に這わせてきた。「ここを懲らしめてやるから」

おどけたように言いながら、オレのモノをギュッと握りしめた。

「おい、おい、勘弁してくれよ」

オレは、身体をよじって、麻衣の手から逃れた。麻衣はいたずらっ子のように笑っている。

「麻衣、頑張ろうな。今度の舞台」

「うん」

オレたちは、もう一度抱き合うと、口づけを交わした。

「愛するということは、互いに見つめ合うことではなく、共に同じ方向を見ること……」

「サン・テグジュペリね!」

すかさす麻衣が返してくる。

「そうだよ。オレは、一生、麻衣を愛し続ける。そして本物の俳優になる」

「私も翔平くんを一生愛し続けます。そして本物の女優になります」

「未来の大女優に祝福のキスを!」

「未来の名優に祝福のキスを!」

オレたちは、芝居がかったキスを交わすと、見つめ合いながら笑った。

そんなオレたちを見守るように月が優しくスポットライトを当ててくれた。
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