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第2章 舞台の上でセックス！？

「翔平くん、『アメリ』の中の老人のセリフを覚えてる？　君の骨はガラスでできているわけじゃない。人生にぶつかっても大丈夫だ」

セリフの後半をオレが引き継いだ。

「もしこのチャンスを逃せば、やがてはお前の心はわしの骨のように、乾いてもろくなってしまうだろう」

『アメリ』は、オドレイ・トトゥを一躍スターにしたフランスのキュートなガーリームービーだ。ミュージカルにもなった。

他人とのコミュニケーションがうまく取れず、周りの誰かを今より少しだけ幸せにすることを生きがいにしている女性アメリが、ニノという青年に恋をする。でも、自分の気持ちを素直にうち明けることが出来ない。そんなアメリに同じアパートに住む老人が言ったのが今の言葉だ。

このチャンスを逃せば、やがてはお前の心はわしの骨のように、乾いてもろくなってしまうだろう……か。

オレも心を決めた。

「わかったよ。やろう！　このチャンスを二人でものにしよう！」

「うん！　翔平くん、がんばりましょう！」

オレは、麻衣を思いっきり強く抱きしめた。

オレたちは、席に戻ると、

「先生、やらしてください！！」

揃って深々と頭を下げた。

「よし！」

相沢先生は大きく手を叩いた。そして満足気に頷きながら、

「石原くん、それに三上くんも、セックスの場面はエチュード（即興）でやるので、毎晩、夫婦でよく練習しておいてください」

稽古場全体がドッと沸いた。