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第2章 舞台の上でセックス！？

「お二人とも仲がいいんですね」

「そうさ。ＭＦＥＯだからね」

「ＭＦＥＯ？　それって何ですか？」

オレが尋ねると、意外にも麻衣が、

「私、知ってます。Made for each other、運命の人っていう意味ですよね」と答えた。

「そうだよ。よく知ってるね」

「私、お二人の『めぐり逢えたら』を見たんです」

『めぐり逢えたら』か。トム・ハンクスとメグ・ライアン主演の古い映画だ。ラジオを通じて知り合った運命の二人が、紆余曲折の末に結ばれる、というロマンチックな話だった。かなり前だけど日本で舞台になり、確か主役の二人を石原さんと夏希さんが務めたんだった。

「あれを見てくれたのか！　嬉しいな。Made for each otherは、直訳すると、神様が互いのために互いをつくった、だけど、日本語では、麻衣さんが言ったように、運命の人とか、お似合いのカップルとか、相性抜群というふうに訳すんだよ。『めぐり逢えたら』では、二人をどうにか、くっつけようと主人公の息子が、偽のラブレターを書くんだけど、その最後にＭＦＥＯ と署名するんだ。しゃれてるだろう」

「家出しちゃったその子を探しに行ったエンパイアビルで、二人は会うんですよね。屋上で、二人が抱き合う場面、本当に素敵でした。私、涙が出ちゃいました」

「あれが一番の見せ場だからね」

「私も気に入っているシーンよ。吉田さんというベテランの人が照明をやってくれたんだけど、すごく綺麗にマンハッタンの夜空を再現してくれたの」

夏希さんは思い出すように、うっとりした目を遠くに向けた。長い睫毛にすっと通った鼻筋をしている。美しかった。